安さの裏に潜む罠?中華PCの「Windowsライセンス問題」を徹底解説

安さの裏に潜む罠?中華PCの「Windowsライセンス問題」を徹底解説

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「高性能なミニPCが驚きの価格で手に入る」 近年、Amazonなどで人気を集めている中華PC。その高いコストパフォーマンスに惹かれて、購入を検討している方も多いのではないでしょうか。

しかし、その安さの裏には、注意すべき「Windowsライセンス問題」が潜んでいることがあります。

実際に、あるユーザーはこのようなレビューを投稿しています。

ボリュームライセンスだった xxx年xxx月xx日に日本でレビュー済み サイズ: xxxxxx Amazonで購入

1週間前に買って、今日届いた 早速セットアップしてウインドウズアップデート終わらせてベンチ走らせて 最後にライセンス確認したら・・・・ボリュームライセンス 返品するか検討中 まだボリュームライセンス問題なくなってないんかいと思った

11/1 アマゾン経由で販売元と話し合った結果、新しいプロダクトキーを発行してもらえて OEMライセンスになりました 性能に不満なしなので4にしておこう 他に買った人はライセンス大丈夫だったのかな?

この記事では、このレビューでも指摘されている「ボリュームライセンス」とは何なのか、なぜ問題なのか、そして私たちが賢く中華PCと付き合うための対処法まで、詳しく解説していきます。

なぜライセンスが問題に?まずはWindowsライセンスの種類を知ろう

この問題を理解するために、まずは主要なWindowsライセンスの種類を知っておきましょう。大きく分けて3つのタイプが存在します。

ライセンス種類 特徴 中華PCでの扱い
① OEM版 PCメーカーがPC製造時にインストールするためのライセンス。そのPC本体とセットで有効となり、他のPCには流用できない。本来、メーカー製PCに搭載されているべき正規ライセンス。 正常
② パッケージ版(リテール版) 個人が家電量販店などで購入できるライセンス。PCを買い替えたり、パーツを交換したりしても、ライセンスを移行できる。高価。 まれ(高価なため)
③ ボリュームライセンス(VL) 企業や学校などが、大量のPCにWindowsを導入するために契約する法人向けライセンス。個人での使用はライセンス規約違反。 問題あり

中華PCで問題となるのは、この③ボリュームライセンスが不正に使用されているケースです。

なぜ中華PCに「ボリュームライセンス」が使われるのか?

理由は非常にシンプルで、コスト削減のためです。

メーカーは正規のOEM版ライセンスをMicrosoftから購入するコストを惜しみ、不正なルートで安価に入手した、あるいは不正に生成したボリュームライセンスキーを使ってOSをインストールし、製品価格を安く見せかけているのです。

「Windows 11 Pro 搭載」と謳っていても、その中身が個人での使用を認められていないライセンスである可能性は、残念ながらゼロではありません。

ボリュームライセンスPCを使い続けることの3大リスク

「OSが動いているなら別にいいのでは?」と思うかもしれませんが、ボリュームライセンスのPCを使い続けることには、無視できないリスクが伴います。

1. 突然Windowsが使えなくなるリスク

ボリュームライセンスは、本来、企業内の認証サーバー(KMSサーバー)に定期的に接続して認証を更新する仕組みです。この認証が切れると、デスクトップに「ライセンス認証してください」という透かしが表示されたり、壁紙の変更などの個人設定ができなくなったりと、Windowsの機能が制限されます。ある日突然、PCが正常に使えなくなる可能性があるのです。

2. セキュリティ上の重大なリスク

不正なライセンス認証を行うために、PCのシステム内に「認証クラックツール」のような不審なプログラムが仕込まれている場合があります。こうしたプログラムには、マルウェアやスパイウェアが含まれている危険性があり、あなたの個人情報が盗まれたり、PCが乗っ取られたりするリスクに繋がります。

3. Microsoftの規約違反

言うまでもありませんが、ボリュームライセンスの個人利用はMicrosoftの使用許諾契約に違反する行為です。正規のユーザーとして、アップデートやサポートを受ける権利がありません。


自分のPCは大丈夫?ライセンスの確認方法

PCが届いたら、まず最初にライセンスの種類を確認しましょう。確認は非常に簡単です。

  1. スタートボタンを右クリックし、メニューから「Windows ターミナル (管理者)」または「コマンドプロンプト (管理者)」を選択します。
  2. 黒い画面が表示されたら、以下のコマンドを入力してEnterキーを押します。
    slmgr /dli
  3. しばらくすると、Windows Script Hostという小さなウィンドウが表示されます。その中の「説明(Description)」という項目を確認してください。
  • OEM_...channel【正常】 OEM版です。問題ありません。
  • RETAIL channel【正常】 パッケージ版です。問題ありません。
  • VOLUME_...channel【問題あり】 これがボリュームライセンスです。すぐに対処が必要です。

もし「ボリュームライセンス」だったら?落ち着いて対処しよう

もしあなたのPCがボリュームライセンスだったとしても、泣き寝入りする必要はありません。レビューの投稿者さんのように、落ち着いて対処しましょう。

ステップ1:すぐに販売元に連絡する

まずはAmazonなどの購入履歴から、販売元(セラー)に連絡を取ります。その際、以下の点を明確に伝えましょう。

  • コマンドプロンプトで確認した結果、ライセンスが「VOLUME channel」であったこと。
  • これはMicrosoftの規約に違反するライセンスであること。
  • 正規のライセンス(OEM版またはパッケージ版)のプロダクトキーを新たに発行してほしいこと。

多くのまともな販売元は、この問題の指摘に対し、レビューの事例のように新しい正規のプロダクトキーを発行してくれます。

ステップ2:返品・返金を要求する

販売元が対応しない、あるいは連絡が取れない場合は、ためらわずに返品・返金手続きに進みましょう。Amazonマーケットプレイス保証などを利用すれば、規約違反の商品として返品・返金が認められる可能性が非常に高いです。

最終手段:自分で正規ライセンスを購入する

PCの性能自体は気に入っており、どうしても使い続けたい場合の最終手段です。Microsoftの公式サイトや家電量販店でパッケージ版のWindowsライセンスを自分で購入し、クリーンインストールすることになります。ただし、2万円前後の追加費用がかかるため、中華PCの「安さ」というメリットは薄れてしまいます。

まとめ:賢い消費者になるために

中華PCは、正しく選べば非常に魅力的な製品です。しかし、その背景には今回解説したようなライセンス問題が潜んでいることを、常に頭の片隅に置いておく必要があります。

  • 購入前:レビューをよく読み、「ライセンス」「認証」「VL」といったキーワードで検索する。
  • 購入後:真っ先にslmgr /dliコマンドでライセンスを確認する。
  • 問題発生時:泣き寝入りせず、毅然とした態度で販売元に対応を求める。

「安さには理由がある」ということを理解し、正しい知識を身につけること。それが、トラブルを回避し、快適なデジタルライフを送るための最も確実な方法です。あなたのPC選びが成功することを願っています。

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